対談コラム TONOSESSION

第四回 佐々木芽生 氏 × 殿内崇生

佐々木 芽生 氏 ドキュメンタリー映画監督

< 経歴 > 

北海道札幌市生まれ、青山学院大学文学部仏文科卒
1987年 渡米し、以来ニューヨーク在住
ベルリンの壁崩壊をきっかけに単独で東欧に渡り、「Yomiuri America」などでルポを連載するなどフリーのジャーナリストとして活躍。1992年 NHKニューヨーク総局に勤務。「おはよう日本」「ワールド・ナウ」などでリポーターを務める。1996年 独立し、NHKスペシャル「世紀を越えて」「地球市場」「同時3点ドキュメント」などの大型シリーズを中心にテレビドキュメンタリーの取材・制作に携わる。2002年 映像制作プロダクション(株)ファイン・ライン・メディアをNYで設立。2008年 ニューヨークでアート収集を趣味とする老夫婦を取材した初の監督・プロデュース作品『ハーブ & ドロシー アートの森の小さな巨人』を公開し、ハンプトン国際映画祭最優秀ドキュメンタリー作品賞をはじめ、全米各地の映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞、観客賞を受賞した。2013年 『ハーブ & ドロシー アートの森の小さな巨人』の続編となる『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』を発表。 この映画の日本公開のための配給宣伝資金をクラウドファンディングで募り1400万円超を集めることに成功。これはその当時の日本最高額記録となっている。現在 クジラを巡る世界的論争描く、ドキュメンタリー映画を制作中。

殿内理事長

監督は現在太地町のイルカ漁についてのドキュメンタリー映画を作成されているとのことで、太地町という小さな港町が舞台となっているコーヴを最初見た時にどのような感想を持たれましたか?

佐々木監督

見事だと思いました。ストーリー展開ですとかハリウッドみたいなエンターテイメント性もありドキュメンタリー映画とは思えないくらい感動的でした。映画を見終わったときには正直に「やばい やばい」と思いましたね。

殿内理事長

「やばい やばい」と思われたのはどのような点ですか?

佐々木監督

何の先入観も持たずに見ると、ものすごく共感の持てる映画になるのかなと思います。実は私の周りの人は、この映画はドキュメンタリー映画ではないという人が多いのです。まあ、アカデミー賞のドキュメンタリー部門を受賞したので、これをドキュメンタリーではないといっても今ではあまり意味がないのですが、その反面すごい不気味だと思います。

佐々木監督

テレビ局のプロデューサーから、太地町の人達まで、あれはドキュメンタリーではないといっているのです。まずは、水俣病を引き合いに出して、イルカを学校の給食にだして食べて水銀をとっているといっていますが、水俣病は補助排水による人工的水銀で病気になったのに対し、クジラや自然界に含まれる自然水銀とは違うのに、映画の情報では同じもののようかに言って、極端に健康被害があると訴えている。

殿内理事長

なるほど水銀にも人工的なものと自然界に元から存在している水銀があるのですね。それは知らないとどちらも一緒だと思いますよね。

佐々木監督

次にIWCという国際会議の団体は捕鯨国がしっかりと自然管理していきましょうという団体なのに、映画の中ではIWCがクジラの保護をしないといけないのにそれがなされていないと言っていたりと、間違った情報を伝えている。間違えとミスリーディングだらけで情報をコントロールしている。

殿内理事長

コーヴの製作者が意図的に情報をコントロールしているということですね。私達は40歳までの団体なのですが、メンバーも色々な情報を知っていると思っているんです。でも、ホームページなどで仕入れた情報で組み合わせているが、実際は足を運び生の情報を仕入れてほしい。メンバーも各々専門分野があり、スキルがあって組み合わせているが、個人個人が成長して組み合わさってほしい。散乱しているバラバラな情報を組み合わせるのではなく、正しい情報を追及し見極める知識をつけて個人と個人が組み合って創発につなげてもらいたい。佐々木監督は情報をどのように人から引き出しているのでしょうか?ほしい情報を人から引き出しているように思えるのですが...

佐々木監督

純粋に相手に対する好奇心からだと思います。犯罪者だとかホームレス、会社の社長や政治家まで同じ人間だから同じように付き合えるんです。ジャーナリストの基本だとも思うのですけれども、相手に対して好奇心をもって、その人のことを知りたいところから始まっているのだと思います。

殿内理事長

好奇心ですか。やはりそこですよね。

佐々木監督

好奇心を持った人には、連絡だけでなく手紙やクリスマスカードなども送ります。あと、断られてもあきらめないことですね。これで私が引きさがるとでも思っているのは大間違いだと相手にしらせ、イエスがでるまで粘ります。そういうことをする人も滅多にいないんですよね。

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対談後記

今回は、3月例会の講師にお越し頂く佐々木芽生さんにお会いした。3月例会のテーマが「創発×発信」というテーマであり、情報が氾濫している現在、「自らが情報を精査する力=リテラシー」を持つためには、一方的な意見を受け入れるのではなく、視点と観点から見る力を養う事が必要であり、今回の例会でメンバーがどのように感じて頂けるかが重要である。私自身もある事だが、主体的な考えがない場合、他者の意見を受け入れてしまうケースがある。しかし、そこに一つでも疑問や別の見方をする事で結果として自己成長になるだけではなく、組織の成長に繋がる事もあるのではないだろうか。その為には、物事に関心を持つ事だし、日々成長を意識する事でもあるといえる。そして今回の例会を通して、私たちの運動をどのように発信していく事が効果的であるかを考える機会になればと思う。

殿内崇生

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